
「正確な測定」はビジネスの成功につながります
測定すると、数値が出る。
これは当たり前のことです。ですが、測定とは怖いもので、「たとえその測定が間違っていたとしても」数字だけは出てきます。正しくない測定を信じてビジネスを進めると、どんな未来が待っているでしょうか。
- 「いいデータが出た!」と学会発表しても、誰も追試で成功しない
- 「いいデータが出た!」特許出願や新製品開発に進んでも、その後製品は完成せず多額の投資が無駄になる
- 「改善したと思ったけどデータがよくない。このアイデアはダメだ!」と誤解し、その後同じアイデアで他社が成功する
間違った測定をすると、その先のビジネスの方向性を間違えます。組織としての時間のロス・お金のロスはもちろん、個人的にも恥をかく、立場を失うなど、間違った測定がもたらす結果はみな悲劇です。「正確な測定」はビジネスを正しい方向に導く道標なのです。
「測定装置購入」という大きな投資の前に
誘電率測定装置や導電率測定装置は決して安価なものではありません。会社としても大きな投資であり、稟議や承認に時間がかかる場合もあります。もし高額な装置を導入した後に「まともに測定できない」「安定して結果が得られない」と気づいたとしたら・・・?投資したお金が無駄になるのはもちろん、装置導入を提案した担当者個人の信用や立場にも影響します。
本記事は測定装置購入という重要な局面を迎えている・今後迎え得る方向けに「装置選定時の見極めポイント」について解説します。
本記事の前提
本記事では、「誘電率測定装置または導電率測定装置を購入検討中の担当者が、メーカーAの装置Xと、メーカーBの装置Yで迷っている」という状態を前提に解説します。各メーカーのラインナップの中からどの装置がお勧めかについては、メーカー担当者に問い合わせ、提案をもらうことが最も確実です。本記事では、「各メーカーに問い合わせて適切な装置を提案してもらった結果、メーカーAの装置Xと、メーカーBの装置Yで迷っている」といった方がどのように選定していくと良いかというイメージで解説しています。

測定装置選定時に確認すべきこと
選定時に確認すべきことは大きく2点です。「その装置で得られる測定結果の例(以下、測定例)」と、「システム全体を通しての使いやすさ」です。この2点を意識するだけで、装置の実力を十分に見極められるようになります。
測定例の確認ポイント
メーカーが提示する測定例は、装置の実力を知る最も直接的な手がかりです。様々な素材を測定した例が確認できれば、その装置から得られる測定結果をイメージしやすいです。
測定の再現性は?
装置の再現性は、測定の信頼性に直結します。測るたびに違う値が出力される装置と、誰がいつ測っても同じ値を出す装置では、言うまでもなく後者の方が優れています。測定例を見て、「再現性を確認できるデータが示されているか」を必ずチェックしましょう。
再現性の確認方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。ただ10回測ればいい、というものではありませんので、是非ご確認ください。
「メーカーにとって都合のいい」データだけではないか?
ただし、測定例をそのまま鵜呑みにしてはいけません。測定が比較的容易な試料だけを示して「こんなにきれいに測れます」と見せている例は要注意です。特に、導入後測定予定の素材に近いサンプルを測ったときのデータがどうなるのか、周波数帯を変えたときに相関が正しく得られるのか――そうした情報まで確認することで、実際の現場で役に立つかどうかを判断することができます。
測定例の見方については、こちらの記事で詳しく解説しています。
システム全体を通しての使いやすさ
測定は人が行うものです。どれほど高性能な装置でも、使い勝手が悪ければヒューマンエラーを招き、正しいデータは得られません。測定者が実施すべきことが多ければ多いほどヒューマンエラーを招き、間違いやすくなります。併せて、試料を設置しやすいハードウェアになっているか、誰でも操作しやすいユーザーインターフェースのソフトウェアになっているかについてもチェックしましょう。
準備が煩雑ではないか?
測定前に複雑な調整や特別な条件設定が必要だと、測定者ごとに結果が変わりやすくなります。初心者でもすぐに扱えるかどうかを確認しましょう。
測定手順は簡単か?
測定に必要なステップが多すぎると、誤操作のリスクが高まります。逆に、直感的な操作で進められる装置であれば、複数人が交代で測定しても安定したデータが得られます。
測定にかかる時間はどのくらいか?
「測定時間が長ければ精密」というわけではありません。むしろ長時間測定では室温や湿度の変化、装置によっては装置自体のドリフトによって誤差が生じることがあります。そもそも単純に考えても、短時間で高速に測定できるほうがユーザーにとっても効率的です。1サンプルあたりにどの程度の時間が必要かを必ず確認しましょう。
どのようにチェックすればよいか
ここまで、チェックすべき観点について説明しました。これらの項目を実際にどのように確認していけばよいのかについて、解説します。
まずは測定例をチェック!
上述の通り、導入後測定を予定している素材に近い素材の測定例がどうか、装置の再現性がどうか、必ずチェックしましょう。測定例は以下のように各メーカーのホームページ等で公開されている場合が多いです。導入後自分たちが測定する素材に近い素材が適切に測定できているかどうかをチェックしましょう。
測定に立ち会って実物を確認!
「システム全体を通しての使いやすさ」で解説したポイントは、カタログや測定例だけでは判断できません。最も確実なのは、実際に測定に立ち会って装置を自分の目で確認することです。実際の測定の様子を見ることで、使いやすい装置であるかをしっかりと確認できます。EMラボでは、受託測定にお立会いいただくことを歓迎しております。お立会いいただければ、装置を目の前にしながら測定の説明やご質問にお答えしますので、装置に対する理解が深まります。
たびたびですが、「他のメーカーでは立会いを断られた」という声を聞くことがあります。立会いを拒否される場合は、
- 測定に非常に時間がかかる
- 取得した生データを見せられない(加工して報告が必要)
といった事情が隠れていることがあります。装置導入という大きな投資の前にはぜひ慎重に判断してください。
まとめ
本記事では、誘電率・導電率測定装置を選定する際に特に注意すべきポイントを紹介しました。
- 測定例を必ずチェックし、再現性と自分が測定したい素材と似た素材を測定した例を確認する
- 装置の使いやすさ(操作の簡単さ・準備の容易さ・測定時間)を確認する
- 可能であれば実物を確認し、立会い測定で納得してから購入する
装置選びは一度の判断で大きな影響を及ぼします。実際に導入してから粗悪品であることに気付くと資金と時間を無駄にしてしまいます。正しい装置を選び、正しい測定を行うことが、研究や開発を成功に導く第一歩です。事前にチェック項目を理解しておけば、選定は難しいものではありません。導入前にしっかりとチェックし、適切な測定装置を選ぶことで、ビジネスの成功に繋げましょう。
EMラボでは各装置の測定例を多数公開しています。装置導入を検討されている方は、ぜひ立会い測定とあわせてご相談ください。



